この記事で読めること
焙煎は、生豆を挽いて抽出できる原料へ変えながら、新しい香りと味の成分を生み出す熱処理です。
豆の中の水分はエネルギーを吸収し、焙煎中に放出されます。初期水分は熱の伝わり方と構造変化の読み方に関係します。
水分が豆の受熱を変える
熱移動、水分の放出、化学反応、豆の構造変化が同時に進みます。同じ色に見えても、熱履歴が同じとは限りません。
実務に置き換えるときは、焙煎中の水分を追うを読む前提として、原料、器具、測定方法、使用目的を同じ記録に残します。
一つの試行へ落とし込む
一つの焙煎サンプルについて、色、香り、硬さ、休ませた期間、想定する抽出方法をセットで記録します。
一般的な焙煎知識だけから、L&Kの焙煎プロファイル、設備能力、ロット品質を推測しないでください。
生豆の特性の中でも、水分含有量は焙煎に最も大きな影響を与えます。水分は熱伝達速度と焙煎に必要なエネルギー量に影響を及ぼします。水分の蒸発は豆内部の圧力を高め、最初のクラック音を引き起こす主な要因です。さらに、焙煎工程の各段階における水分含有量は、化学反応の速度にも影響を与えます。
焙煎工程中の湿度変化。
コーヒー豆は焙煎中に水分を失いますが、深煎りの場合でも、コーヒーの種類や焙煎条件にもよりますが、通常1~3%程度の少量の水分を保持します。水分損失率は焙煎条件によって異なります。対流式焙煎機では、焙煎工程全体を通して水分損失率は安定している場合があります。しかし、焙煎工程の後半で豆の構造が崩れ始めると、この損失率は上昇する可能性があります。
同じ焙煎バッチ内の豆同士、あるいは同じ豆同士でも水分含有量に差があると、コーヒーの焙煎具合に影響が出ることがあります。例えば、初期水分含有量が高い豆は焙煎初期に水分が早く失われますが、焙煎工程の終わりには、残存水分含有量は初期水分含有量が低い豆とほぼ同じになります。
水は100℃で蒸発するわけではない
焙煎中に最初に蒸発する水は「自由水」です。これはコーヒー豆の構造にしっかりと結合しておらず、化学反応に容易に関与する水です。コーヒー豆内部の温度が上昇すると、内部圧力も上昇し、水の沸点が100℃を超えます。しかし、コーヒー豆には自由水に加えて、コーヒー豆の構造にしっかりと結合している「結合水」も含まれています。結合水を蒸発させるにはより多くのエネルギーが必要です。温度が上昇すると、結合水はコーヒー豆の構造から分離して自由水と合流し、コーヒー豆の水分活性が高まります。
焙煎中の化学反応によって水分も生成され、豆内部の圧力上昇につながります。内部圧力は25バール(360psi)に達することがあり、豆の構造が膨張し、初期のひび割れを引き起こし、化学反応を加速させます。
焙煎工程における湿度は、コーヒーの品質と風味を左右する上で極めて重要な役割を果たします。湿度が化学反応や豆の構造変化にどのように影響するかを理解することが、均一な焙煎と望ましい風味を実現するための鍵となります。
読後の確認
このテーマを次の判断につなげる
- 水分についての判断にサンプルと測定時点を付ける。
- 温度、熱移動、反応のどれを説明しているか
- サンプルと測定時点が明確か